ヒトとして大切なことを教わり、いくらかの季節が流れた。

 

今度はわたしが入院している。

幸い軽症だが、どうも逆だったころを思い出す。

あの頃彼女は、今の自分よりずっと辛く苦しい気持ちで一杯だったろう。

 

まだあの子の傷が残っているようだ

わたしがあの子に残した傷は、この世にひとつも残っていないと思う

 

日々の中で気がつけば

〝彼女〟の輪郭がぼやけてしまっていた

愛していた、のに。

 

幸せだったのに

守りたいと心から思ったのに

 

もう

思い出せない